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弁護士稲益寛明による法律×心理×情報処理その他関心事を書き留めるブログです。

Henning Shmiedt『Spazieren』

 

 本作は、旧東ドイツ出身のピアニスト、作曲家、編曲家であるヘニング・シュミート氏によるピアノ・ソロ作品です。2000年以降静かに流行したポスト・クラシカルの文脈で語られることの多い氏の、”散歩”と題された本作は、静謐かつ内省的な響きを湛えながらも温かみを兼ね備えており、当事務所においても平時のBGMとしてよく流しています。端から癒しを目的とした音楽とは異なって、あからさまな機能性はなく、自然な風通しと肌触りのあるところなどが個人的に非常に気に入っております。

ここで、熊倉敬子氏の論文『音の投影法の研究』(慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要:社会心理学教育学No.30(1990.),p.21-28)によれば、「音刺激は…物語のつくりやすい刺激」であり、「物語の進行を容易に」し、「直感的にイメージが浮かびやすく、過去の記憶を想起させやす」いとされています。

このような音刺激の効果に照らせば、基本的にはダイアローグを志向すべきクライアントとの面談の場面はもちろんのこと、平時の職場環境づくりにおいても音楽を流す場合には相応の注意を払う必要があるように思われます。他方で、単純に自分の好きな音楽を聴きながら仕事などをすると非常に捗るというのは誰しもが経験したことのある事柄でしょう。私自身も、毎朝職場に来るたび、仕事をするための音楽を選ぶことが、ささやかな愉しみであったりもします。