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弁護士が関心事等を書き留めるブログです。

IPA『DX白書2023』

www.ipa.go.jp

本年2月9日に、IPAから『DX白書2023』が公表されました。前回2021年度版の白書とは異なって『~進み始めた「デジタル」、進まない「トランスフォーメーション」~』という副題が新たに添えられていることからも分かるように、日本のDX推進における厳しい状況を示すものとなっています。

記載によれば、日本企業は米国に比しDX推進においてその多くがデジタイゼーション(デジタルデータ化)ないしデジタライゼーション(業務プロセスのデジタル化)の段階に留まっており、その先にあるトランスフォーメーション(新たな価値創出等)にまで到達できていないとのことです。中でも興味深かったのは、レガシーシステムの状況と課題に関する設問を新たに追加したところ、「レガシーシステム刷新の遅れ」がDX推進の足かせとなっていることが窺われている点であり、これは突き詰めれば日本のIT産業の構造自体に起因するものとも考えられ、なかなか問題は根深いように感じられます。

DXの目的が司法の場においてそのまま妥当するものとは思われませんが、とはいえ経済界がこのような状況の下、司法において社会的要請に応えたプロセスの変革がなされるのは果たして一体いつになるのでしょうか。